生命保険の必要性営業に役立つ官公庁作成資料の拾い読み

インプットなくしてアウトプットなし!

⑦令和273金融庁

投資信託等の販売会社による顧客本本位の業務運営のモニタリング結果について

を読みました。

https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202007/fd_kouhyou.html

 

 

 

◇取組と課題(モニタリング結果のサマリー)

金融庁は、国民の「貯蓄」から「資産形成」促進させたい

そのため、「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定・公表し、下記3点を進めてきた

①原則を採択した金融事業者の取組の「見える化」の促進

②販売会社との対話による取組の促進

③顧客把握の実態把握

👉以下、令和元年事務年度の主要な論点

 

1)外貨建保険等の販売態勢

金利環境下の比較優位な商品として販売額が急増、苦情が増加、以下の

課題3点が認められた

・過度のインセンティブを与える評価体系

・類似する金融商品と比較可能な情報提供

・販売方針・対象を設定せず、預金と誤認したとの苦情の発生

以上を踏まえ、改善を進める3

・ライフプランに基づく提案力向上に向けた業績評価・人材育成

・品揃・情報提供のあり方

・新たな手数料体系

 

2)金融事業者の取組の「見える化」について

原則採択事業者数は増加するも、原則の趣旨を咀嚼・実践するスタンスが欠如している事例が散見、実効性のある取組を促してきたが、成果は限定的

その背景として、顧客が類似する金融商品を比較購入するする行動が一般的ではなく、金融事業者のモチベーションも高くない

以上を踏まえ、今後の取組み3

・金融事業者間の取組の比較可能性の改善

・好事例取組の公表や金融教育イベントなど国民への情報発信

・顧客意識調査を実施し、金融事業者・金融庁の取組の検証

この点、市場WGでの議論も踏まえるとのこと、715日開催分の資料もアップされ次第、なるべく早くレポートしたいです

 

3)リスク性金融商品の預かり資産残高の状況について

顧客のニーズをくみ取り、適切な商品提案の結果、販売会社・顧客双方にとって望ましい形でリスク性金融商品の残高が増加していくことが理想的だが、概ね横ばい、個人の運用資産残高が順調に伸びているとは言えない

 

4)今後の対応

販売会社に対する、「原則」に基づく実効性のある取組をいかに促していくかが課題

米国の「最善の利益原則」や欧州の「第二次金融商品市場指令」などを参考に議論を行った

 

 

◇金融事業者による顧客本位の業務運営の取組の「見える化

国民がより自分にあった金融事業者を比較・選択し、資産形成に取り組めるよう、「原則」採択事業者に向け、取組方針・成果の「見える化(自主的・共通KPIの公表)」を求めてき

「原則」採択・取組方針公表事業者を金融庁ウェブサイトで公表

3年が経過し、公表金融事業者は増加しているものの、「原則」採択自体が目的化していることが懸念

令和元年事務年度より、「原則」採択に加え、取組成果公表事業者のみをリストに記載することとした結果、「原則」採択事業者に占める取組成果公表事業者割合は201939%→202061%

しかしながら、取組方針が概念的な内容に留まっている、顧客の取組方針・KPI公表ページへのアクセスへの配慮も限定的

👉好事例取組2

・理解が難しい、中長期資産形成にそぐわない商品は、売れ筋であっても取扱わない方針を社内外に明確化

・共通KPIである「運用損益別顧客比率」の公表

 

 

◇販売会社による顧客本位の業務運営の取組の実態把握

以下、主要な販売会社の取組状況

 

1)提案プロセス

主要販売会社では、長期分散投資提案の実践を標榜し、ライフプランコンサルに力を入れているが、多くの販売会社で下記の様な課題

・モデルポートフォリオがなく、販売員間で提案内容・質にバラツキ

分散投資の重要性は理解しているが、ノウハウを十分に有していない販売員が多い

・適合性判断の社内ルールが商品単体と顧客属性の確認に留まり、顧客のポートフォリオとの適合には達していない

結果、顧客のポートフォリオが外貨建保険の偏る状況も生じている

👉好事例取組として、モデルポートフォリオをベースにした提案を行い、組入商品も月次で見直しを図っている事例

 

2)業績評価

主要販売会社では、預かり資産残高等の項目のウェイトを拡大する傾向が定着、一部では販売額に基づく評価を廃止

 

根本的な問題解決には至っていない

👉好事例取組として、中長期分散投資による預かり資産拡大の提案方針を明確にした上で、全商品カテゴリーを対象に、評価を販売額預かり資産残高基準へ変更

 

3)人材育成

主要販売会社会社では、顧客の将来必要資産額などのゴールを共有した提案や、相続・資産承継・不動産業務等の幅広い提案への取組が見られる一方、ここ商品ウリから脱していない販売会社・員も多くバラツキは拡大

とりわけ、投資信託については、相場下落時の苦情不安から苦手意識を持つ販売員が見られる

若手職員の配置が多いが、明確なキャリアプランが設定されていない

👉好事例取組として、専門性の高い人材育成を目的とした研修の強化、販売員のキャリアプランの明確化による中長期的なコンサルティング営業体制の強化

 

 

◇顧客本位を実現する手数料体系のあり方

販売方針会社においては、時には商品を販売しないことが顧客本位となり得ることもあるが、多くの販売会社会社では、商品販売を前提とした評価体系を採用してしており、顧客との利害が必ずしも一致しないケースもある

問題解決に向け、有識者にコミッション(販売時)基準フィー(預かり資産)基準への評価体系の移行についてヒアリングを実施、専門人材育成・収益構造転換には時間を要し、段階的な移行が現実的との意見も

👉金融庁は、顧客本位の業務運営(資産増加という顧客利益を販売会社が目指す)持続的なビジネスの成長に向け、議論が必要であると考える

 

 

◇今後の対応

コロナの影響による市場変動から、顧客が不安を感じやすく投資の継続を難しくしている面がある

顧客に対し、冷静な対応を促し、長期・積立・分散による投資手法の有効性の利害が望ましい

金融庁・販売会社が金融リテラリーの向上を進めることで、顧客本位のサービスを提供する販売会社や良質な金融商品が選択されるようになることも大事な視点

 

 

個別業界・会社への言及が強い箇所や、私では理解が及ばない箇所については一部割愛させていただいております😅

ご興味がある方資料原文をご確認下さい。