生命保険の必要性営業に役立つ官公庁作成資料の拾い読み

インプットなくしてアウトプットなし!

②「成年後見制度の現状」を読みました。

②2018年5月 厚生労働省 「成年後見制度の現状」

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/genjyou30.5.2_2.pdf#search=%27%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%27

 

 

2017年3月24に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」に基づき、2018年7月より開催されている「成年後見制度利用促進専門家会議」にて、何度か、参考資料として登場しています。

※「成年後見制度利用促進専門家会議」については、2020年3月17日に、中間試案が取りまとめられましたので、後日、レポートしたいと思っております。

 

前置きが長くなりましたが、本日紹介する資料は、成年後見制度について、具体的な数値や現状の課題等がまとめられておりますので、特に保険営業に携わる方は、大変恐縮ですが、各数値の概要を押さえておいて損はないかと思います。

 

以下、私なりにまとめたポイントです。

宜しければお付き合い下さい。

(※以下の文章は、別な資料等から得た情報に基づく、私の主観等が入っておりますので、その点ご了承下さい)

 

 

<制度の概要>資料P1

後見:判断能力が欠けている状態、日常生活行為以外の後見人の同意がない法律行為は無効、欠格事項あり

保佐:判断能力が著しく不十分な状態、日常生活行為以外の民法第13条1項所定の法律行為は保佐人の同意がなければ無効、欠格事項あり

補助:判断能力が不十分な状態の方、日常生活行為以外の特定(民法第13条1項所定の一部)の法律行為は補助人の同意がなければ無効

※詳細は資料P1でご確認下さい、わかり易い図にまとまっております

 

 

<利用者数の推移>資料P2

2012年166,289件、2013年176,564件、2014年184,670件、2015年191,335件、2016年203,551件、2017年210,290件

※2017年の新たな申立件数は35,486件、毎年亡くなる方もいる中、件数は毎年1万件程度増加し、概ね20万件前後の利用がなされています

 

 

<2017年の制度の利用状況>資料P2

成年後見165,211件(約78.5%)、保佐32,970件(約15.6%)、補助9,593件(約4.5%)、任意後見2,516件(約1.1%)、合計210,290件

※個人的には任意後見制度の普及率の低さがショッキングです(実際に任意後見契約が発動してからの数字なので、事前の対策はもっと普及していると思いますが)、お客様にリスクを訴求することが使命の、保険営業に従事する身としては、もう少し制度普及に貢献できないかと思います

 

 

<申立件数の推移>資料P3、P4

毎年の申立件数は概ね35,000件前後、しかしながら、市区町村申立件数は2012年4,543件(約13.2%)→2017年7,037件(約19.8%)と急増

※後見開始の申立ができるのは4親等以内の親族に限られ、身寄りのいない方は市区町村が申立を行うことになりますが、その割合が急増しています

※身寄りのいない方こそ、任意後見契約等の事前対策が必要かと思います

 

 

<2017年の申立動機>資料P6

預貯金等の管理・解約29,477件(約83.0%)、身上監護13,312件(約37.5%)、介護保険契約7,007件(約19.7%)、不動産処分6,532件(約18.4%)、相続手続6,142件(約17.3%)、保険金受取2,872件(約8.0%)その他2221件(約6.2%)、訴訟手続き等1,952件(約5.5%)<分母35,486件に対し重複回答有り>

※保険営業の観点からは約8.8%が保険金請求を理由としている点に注目したいところです

例えば、給付金等の指定代理人請求との違いを改めて確認(保険金請求には指定代理請求という制度はない)

また、保険会社によっては、保険金請求人の意思能力が十分でない場合でも、柔軟な対応を実施しているケースもあると聞きます

この点、ご所属やお取扱の保険会社の事務を確認・整理することをお勧め致します

勿論、一番大切なのは、受取人変更などの定期的なメンテナンスですが...

(なんだか偉そうなくだりになってしまい申し訳ございません)

 

 

<2017年の本人との関係別件数>資料P8

司法書士9,982件(約28.1%)、弁護士7,967件(約22.4%)、子5,051件(約14.2%)、社会福祉士4,412件(約12.4%)、その他親族1,536件(約4.3%)、兄弟姉妹1,299件(約3.6%)、社会福祉協議会1043件(約2.9%)、行政書士893件(約2.5%)、配偶者774件(約2.1%)、親700件(約1.9%) 

※親族が約26.2%、第三者が約73.8%という割合に注目、私も最近司法書士の先生に教えて頂きましたが、財産が多い方程、第三者が任命される傾向にあるという点、恐らく一般の方もご存じない場合が多いかと思いますので、この点、きちんとお客様にお伝えしていく必要があるかと思います

※意外と社会福祉士の方が多いという印象、勉強不足により具体的にどのような資格・職務かわかっておりませんので、今度調べてみます

 

 

<費用等について>資料P9

・申立手数料800円、登記手数料2600円、送料等3,000円~5,000円、鑑定費用50,000円~100,000円

成年後見人の報酬の基本報酬月額20,000円、但し、管理財産が1000万〜5000万円の場合は、月額30000円~40,000円、管理財産5,000万超の場合、月額50,000円~60,000円

※保険営業の観点からは、上記費用が、基本的に終身で発生する旨確認し、お客様にお伝えをしていくことが必要かと思います

 

 

<後見監督人について>資料P38

・後見人の業務は原則裁判所が監督するが、職権で後見監督人を選任することができる

・後見監督人が選任される場合の例

管理財産が多額・複雑等専門職の知見が必要なとき、(遺産分割等)後見人と被後見人の利益相反のとき

※2017年の選任件数は2543件(約7.1%)<直近で多かったのは2015年4,722件(13.6%)>と意外と少ないと感じますが、親族が後見人に選任される件数が9,360件なので、約1/4は監督人が選任されると捉えて良いでしょうか

 この点、保険営業としては、監督人にも概ね後見人報酬の半分の報酬が発生する旨、きちんとお伝えしていくべきと思います

(私は、親族が後見人になった場合、必ず後見監督人が選任されるものと誤解しておりました…)

 

 

他にも、厚生労働省のこれまでに取り組みや、市民後見の推進、後見制度支援信託、障害者向けの制度利用促進等についてもまとめられておりますが、また別な機会に別な資料等からレポートできればと思います。

 

 

最後までお読み下さり、ありがとうございました。

 

 

最新の数字を確認したい場合は、裁判所が毎年統計を出していますので、宜しければご参照下さい。

最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況―平成31年1月~令和元年12月―

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/kouken/index.html